FAGA
女性の男性型脱毛症
(びまん性脱毛症など)

「AGA(男性型脱毛症)」と同様、男性ホルモンに由来する脱毛症が女性にも発生することがあります。一般に「FAGA(女性における男性型脱毛症)」と呼ばれていますが、その発症機序は男性とは異なります。「FAGA」について、皮膚科医の立場から解説します。

「男性ホルモン性」ではあるものの、“働き過ぎ”ではありません。

男性のおよそ5%ほどですが、女性の体内にも一定の血中濃度で男性ホルモンが存在しています。そのため、女性に男性ホルモン性の脱毛症が生じた場合、「AGA」に「F(Female)」を付けた「FAGA(Female Androgenetic Alopecia)と診断します。
ただ、男性のAGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが酵素によって働き過ぎ、毛乳頭細胞を萎縮させることで発症するのですが、女性の場合、ホルモンの働き過ぎではなく、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減少し、男性ホルモンのバランスが崩れる(男性ホルモンの影響が優位になる)ことによって脱毛を生じるのです。
エストロゲンの分泌量が低下する原因としては、主に加齢によるもの、過度なストレスや睡眠不足などによる自律神経の乱れなどがあり、特に閉経後の更年期女性に多く発症します。

脱毛の進み方も男性の「AGA」とは異なります

男性のAGAは、活性したテストステロンの影響を受けやすい頭頂部や生え際が、局所的に薄くなる傾向があるほか、治療をせずに放置しておくと、毛髪が完全に抜けてしまうケースも少なくはありません。
しかしFAGAの場合、毛髪が細くなって薄くなる状態が、頭頂部を中心に進んでいくものの、男性のようにはげ上がることはありません。『女性ホルモンの分泌量が急激に減少する』とは言っても、一定量は高齢になっても分泌され続けるからです。

FAGAの治療は経験を積んだ医療機関で

加齢に伴う女性ホルモンの分泌量減少が主な原因だけに、FAGAの治療は内分泌系にも詳しい皮膚科専門医に相談すべきです。
男性のAGAのように、医学的に認められた治療法はありませんが、FDA(アメリカ食品医薬品局=日本の厚生労働省に該当する公的機関)が唯一、治療効果に対して肯定的なのは、「ミノキシジル」という外用薬です。
もともとは、血圧を下げるための血管拡張薬として開発された薬なのですが、販売後に発毛の効果もあることが判り、発毛促進薬として改良されたものです。AGAの内服薬のように、抜け毛・薄毛の直接的な原因にアプローチする薬ではないものの、頭皮の血流と発毛とに関わりがあることは判っているので、女性の抜け毛・薄毛治療においては有用な治療薬と言えます。
最近では、頭皮の代謝環境を整えることで血流を改善させる「パントガール」という内服薬も、治療に用いられるようになりました。