円形脱毛症

中高年女性に特有のFAGAと違って、お子さんに生じることもある「円形脱毛症」。自己免疫疾患の影響だとする説やホルモンバランス説などがあるものの、今のところ、医学的なエビデンスはありません。男性が発症することもあるのですが、ここでは女性の円形脱毛症について、皮膚科医の立場から解説します。

突然の脱毛が「円形脱毛症」の特徴です。

患者さんの多くが、“ある日突然、抜けていた”と訴えるように、コイン型に髪が抜ける円形脱毛症は、女性に多い突発性の脱毛症です。
発症原因としては、自己免疫疾患、過度の肉体的疲労の蓄積、何らかの感染症、ホルモンバランスの乱れ、局部的な皮膚疾患など様々な説が出ていますが、どれも確証はありません。
中高年ばかりでなく小児でも発症者が少なくないこと、女性ほどではないにせよ、男性が発症するケースもあることなどから、疲労やストレスなどが引き金となり、免疫機能に異常が生じることが主因ではないかとの見方が主流になっています。

「単発型」だけではない円形脱毛症の病態

「円形脱毛症」という名称から、いわゆる“10円ハゲ”などと呼ばれる一箇所のみの局所脱毛(通常単発型)をイメージする方が多く、実際、一番多いのは通常単発型の患者さんです。
しかし、通常単発型の脱毛が複数箇所に発生する「通常多発型」、全ての毛髪が抜け落ちる「全頭型」、円形ではなく細長くうねった形状で抜ける「蛇行型」、毛髪だけで無く全身の体毛も抜ける「汎発型」に分類されます。

免疫機能の異常で毛根が攻撃される!?

先ほど、「自己免疫疾患」や「免疫機能の異常」が円形脱毛症の原因と考えられている…と述べましたが、免疫機能と脱毛とがどのように関わっているのかについて解説します。
ご存知のように免疫は、体内に侵入する細菌やウイルスなどを攻撃し、私たちの身体を守ってくれる生体機能です。通常、免疫機能を司るリンパ球が「外敵」として認識するのは、外部から侵入する異物や体内で発生した異常細胞(がんなど)に限られるのですが、何らかの原因でその機能が狂ってしまうと、毛根を異物だと勘違いし、攻撃をはじめてしまうのです。
実際、代表的な自己免疫疾患の1つであるアトピー性皮膚炎の患者さんは、若いうちに円形脱毛症を発症することが多く、円形脱毛症の患者さんの半数以上は、本人あるいは親族に、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息など、自己免疫疾患が見られるとするデータもあるようです。

過剰に心配せず皮膚科専門医と相談しましょう。

前述のように、円形脱毛症は症状が突然発生することが多いため、驚きのあまり、ネット等で販売されている医学的根拠の無い育毛剤を購入してしまう人も少なくはありません。ただ、円形脱毛症は、1年以内に治癒したり症状が軽くなったりするケースが多いので、慌てず、過剰に心配することなく、女性の円形脱毛症に詳しい皮膚科専門医を受診するようにしましょう。
明らかに免疫機能の異常が原因と思われる場合は、ステロイドの外用薬(塗り薬)や、症状によっては内服の抗アレルギー薬を処方して、経過を観察します。患部に、薬剤を直接注射することもあります。ただし、ステロイド系の薬には副作用のリスクが考えられるため、脱毛症の専門医がいる医療機関を受診することが肝心です。