薄毛相談室
Q&A

AGA男性型脱毛症について

治療開始に適しているのはどのような時でしょうか。

治療を開始するのに適した時期は、ご本人の気持ち次第です。ただ、ほとんどの疾患に共通して言えることですが、脱毛症も早期発見して早期に治療開始した方が、進行の程度をより小さく抑えられることに違いはありません。
特にAGA(男性型脱毛症)の場合、早期に診断をつけて内服薬なり外用薬なりを使用開始するのと、脱毛の面積がかなり大きくなってから医療機関を受診するのとでは、治療の方法も効果も、治療に要する期間も、全く違ってきます。
抽象的な言い方ではありますが、『気になり始めた時』が治療開始に適したタイミングと言えるのではないでしょうか。

AGAに対し、医学的に推奨できる治療法はありますか。

十分な問診と診察を行い、抜け毛の原因が男性ホルモンであることが判った場合、一般的に処方されるのは、男性ホルモンを活性させる酵素の働きをブロックする「プロペシア(一般名フィナステリド)」という飲み薬です。国内で最初に認可されたAGA治療薬なので、作用・副作用とも十分に知られており、脱毛症状の改善も高い確率で期待できます。
それ以外にも、プロペシアより幅広いタイプに効果が期待できる「ザガーロ(一般名:デュタステリド)」という内服薬や、外用薬(塗り薬)、注射剤などがあり、作用機序もそれぞれ異なっているので、患者さんの症状に合わせて最も適した治療薬を選択せねばなりません。
親和クリニックで施術している「自毛植毛治療」も、皮膚移植手術の技術を発展させ、自分自身の毛髪を抜け毛やハゲの部分に移植する、医学的に推奨できる治療法の1つです。

医学的に見てハゲている人とそうでない人の違いはなんですか。

端的に言うと、『毛周期(毛髪の生え替わり)』の「成長期」と「休止期」が、ある程度まで規則正しく繰り返されている人と、そうでない人との違いです。
日本皮膚科学会による「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、まずAGA(男性型脱毛症)について、「毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなることが基盤となる病態。臨床的には、前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には頭髪が皮表に現れなくなる現象」と定義しています。
“男性型”という名称ながら、この病態は男女を問わず同じです。ただ、女性の場合は男性と異なり、「頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンとして観察される。発症時期についても更年期に多発し、男性ホルモン依存性では病態が説明できない場合もある」ため、そうした種類の脱毛は「女性型脱毛症」という病名を使うようになっています。

「男性ホルモンの影響」以外で、抜け毛・薄毛が進行することもあるのですか。

はい、例えばアトピー性皮膚炎の患者さんの場合、子どものうちから脱毛が起きることがあり、アトピー的な皮膚の性質を持った人が、顕著な円形脱毛症になることもあります。
皮膚の状態に加えて、過剰なストレスなどが抜け毛を助長しているのではないか…と思われる患者さんもいます。ストレスだけで脱毛が生じることはありませんが、誘因や、症状の増悪因子にはなり得るので、問診時には精神的な問題についても考慮する必要があるのです。
また、何らかの内科系疾患や過度の喫煙習慣の影響で頭皮に十分な血液が行き渡らず、発毛を維持できなくなるケース、あまり洗髪せずに頭皮を不潔な状態にしていたため、皮膚が毛根に栄養を与えられなくなるケースなどもあります。

女性の薄毛について

女性の抜け毛・薄毛の原因は何でしょうか。

加齢、特に閉経後の女性ホルモン減少や、ストレス、栄養バランスの乱れなど様々な説が出されていますが、はっきりした原因は判っていません。私は医師としての立場から、“女性ホルモンと脱毛との関連が無いとは言い切れませんが、それだけが原因とも思いません”といった説明をしています。
また、前述の「毛周期」のうち休止期が慢性化することによる脱毛、膠原病や慢性甲状腺炎などの全身性疾患に伴う脱毛、貧血、急激なダイエット、その他の消耗性疾患(がんや慢性感染疾患など)に伴う脱毛なども見られます。ノイローゼなど精神疾患的な要因から無意識に自分の毛髪を抜く「抜毛症」も、男性より女性に多く見られ、小さな円形脱毛が複数生じ、それがつながって大きな脱毛となる人もいます。

女性の抜け毛・薄毛の治療法にはどのようなものがありますか。

男性のAGA治療のような、医学的に認められた治療法は残念ながらありません。そんな中で、FDA(アメリカ食品医薬品局=日本の厚生労働省に該当する公的機関)が、唯一、治療効果に対して肯定的なのは、「ミノキシジル」という外用薬です。もともとは、血圧を下げるための血管拡張薬として開発された薬なのですが、販売後に発毛の効果もあることが判り、発毛促進薬として改良されたものです。
AGAの内服薬のように、抜け毛・薄毛の直接的な原因にアプローチする薬ではないものの、頭皮の血流と発毛とに密接な関わりがあることは判っているので、女性の抜け毛・薄毛治療においては有用な治療薬と言えます。近年は頭皮の代謝環境を整えることで血流を改善させる、「パントガール」という内服薬も女性の脱毛症治療に用いられるようになりました。
なお、女性型脱毛症の患者さんに女性ホルモンを投与すると症状が改善された…とする報告が複数あるため、女性ホルモン欠乏説を支持する研究者も少なくありませんが、医学的なエビデンスは得られていません。

AGAと比較して、女性の治療は難しいのですか。

男性ホルモン依存性の脱毛を除くと、抜け毛・薄毛の直接的な原因が判っていないこと、治療効果が医学的に証明されている薬が乏しいことなどから、どこの医療機関でも診療を行えるというわけではありません。
前述のように、脱毛パターンが男性以上に多様な上、女性型脱毛症と円形脱毛症、それ以外のパターンとで、それぞれ治療の進め方が異なり、さらにストレスなど日常生活における色々な要因が複合的に関わっているので、まずは症状の正確な見極めが重要なのです。
また、治療方針をできるだけ早めに患者さんに伝えられる医師の存在も重要です。医療機関を受診し、色々と診察されたのに「後日、もう1度来て下さい」などと言われたら、誰だって不安になりますよね。女性の場合、特にその傾向が強いので、私はほとんどの場合、初診で診断をつけ、治療の進め方を患者さんに提案するよう心がけています。