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自毛植毛に関するコラムをご紹介します。

「自毛植毛」した髪の寿命は健康な髪と変わりません

自毛植毛した髪の寿命は健康な髪と変わりません。

「AGA(男性型脱毛症)」や「FAGA(女性の男性型脱毛症)」、「円形脱毛症」といった脱毛症により薄毛に悩んでいる方にとって、薄毛を完全に治したいと考えるのは当然のことでしょう。
医師としての立場からは、患者個人に向き合った問診と診察を行い、患者さんの脱毛状況に合わせた治療、もしくは患者さんが希望する手段に応じた治療を決めていくのがベストだと考えています。
治療法の中には投薬治療や自毛植毛、人工毛植毛などがありますが、今回は、植毛された髪の寿命は健康な髪と同様で、薄毛の根本的・決定的な治療になり得る『自毛植毛』について解説していきたいと思います。

自毛植毛した毛髪は、他の髪と同じように永続的に生え変わります。

自毛植毛は自分の頭皮(後頭部や側頭部など)から採取したドナー皮膚組織(毛包)を薄毛部分に開けた穴に1本ずつ植えていく医療施術です。
後頭部や側頭部の毛髪は、薄毛の原因とされる男性ホルモンなどの影響を受けにくい部位のため、薄くなっている前頭部や頭頂部に植え込むと約80~90%の確率で定着させることができます。
定着した毛髪は、他の髪と同じように永続的に生え変わるため、薄毛の根治療法とされています。
髪の寿命は2年~6年(4~6年とも)とされ、その中で「成長期」「退行期」「休止期」からなる毛周期(ヘアサイクル)を1周します。

成長期

毛包組織を植えた後、髪の発育の核となる毛母細胞が分裂を繰り返し、髪が伸びていく時期です。
新しく生成された髪が古い髪を押し出して抜け替わる事を繰り返し、毛周期の6年のうちの8~9割はこの成長期になります。
ちなみに、この成長期が短くなってしまう症状が「AGA(男性型脱毛症)」になります。

退行期

毛母細胞の寿命により細胞分裂活動が弱まり、毛球部が萎縮し髪が成長を止めます。
約2~3週間をかけて髪の毛は毛母細胞から離れ、成長がストップします。

休止期

毛母細胞は寿命を迎えて完全に活動しなくなり、毛母細胞から離れた毛髪は脱落します。
この時にはブラッシングやシャンプーなどで簡単に髪が抜け落ちますが、正常な髪の毛の状態なら、抜け落ちた後から新しく生成された髪の毛が生えてくることになります。

人工毛植毛の場合は、約1年で半分くらいが抜け落ちてしまうといわれています。

人工毛植毛とは、ポリエステルやナイロン、アクリルなど人体になじみやすく拒絶反応が出にくい合成繊維を使った人工毛を、植毛針で頭皮に埋め込む手法の事です。
自分の毛を使う自毛植毛と比べ、施術直後から毛が生えた状態に見える即効性はあります。
ただし、人工ゆえにアレルギーや拒絶反応、感染症、炎症といった皮膚トラブルのリスクは高く、人間の免疫システムが体外に追い出そうとするため、約1年でほぼ半分が抜け落ちるとされています。
そのため、薄毛を目立たなくさせるためには、1年前後もしくはそれ以前を目処に再度人工毛植毛を行う必要があり、コストがかさむ手法となっています。身体へのダメージが非常に大きい施術のため、アメリカの多くの州では法律で禁止されています。

自毛植毛後は一時的に抜け毛が増えることもあります。

自毛植毛を実施した後、植毛部分の周辺の毛が抜け落ちても心配しないで下さい。それは通称「ショックロス」(医学用語:手術後に見られる既存毛の一時的な抜け毛の増加)と呼ばれるもので、手術後約3か月後までの間に見られる、一時的脱落になります。
原因は麻酔や移植部位の炎症作用などの影響によるものとされ、既に生えている毛髪の10~15%前後が抜けるようです。
患者さんは植毛をした後に施術箇所を非常に気にしているので、ちょっと毛が抜けても気になり、ショックロスを過剰に受け止めてしまう事がありますが、おおむね1年~1年半後にはまた元通りに毛が生えてきます。
ショックロスの発症率は20%程度と言われています。
この20%の中には抜け毛の程度が比較的に軽い事例も含まれているため、ショックロスにより手術前よりも薄毛部分が目立ってしまうという事例は、全体で見ればかなり確率の低い事例になります。
なお、自毛植毛の手術後に毛包周辺組織が上手く生着(根付く)せず、毛が抜け落ちてしまう「脱落」という現象もあります。
自毛植毛では脱落率が1~2割あるので、多少の抜け毛が発生するのは仕方のないことだと理解して下さい。

自毛植毛の術後から毛髪が生え揃うまでの経過を解説します。

自毛植毛を行うと、術後から毛髪が生え揃うまで約1年をかけて完成形となります。ここでは、その経過を詳細に解説していきます。

1~2週間が経過すると、移植部・採取部の傷跡がほぼ回復します。

ドナーを採取した後頭部や植え付けた薄毛部分は軽い出血(血が滲む程度です)があります。
その部位にはかさぶたができ、約1週間後にはかさぶたが剥がれてきて傷はほぼ回復し、傷跡を気にすることなく、いつも通りにシャンプーで髪を洗ったり、長時間入浴したり、運動や飲酒なども可能になります。
そして2週間後にはかさぶた跡の赤みは薄くなり、かさぶたに隠れていた髪の毛が皮膚の外に出てくるので、「植毛したんだな」と実感できると思います。
2週間後にはサッカーでヘディングをしたり、サウナに行ったりなど手術前とまったく変わらない生活が送れるようになります。

1か月が経過する頃には移植毛が抜け始めます。

頭皮の赤みはさらに薄くなり、移植した髪の毛が脱落し始めます。
この時点では「ショックロス」「一時的脱落」「脱落」によって移植した部分で毛が抜けますが、「ショックロス」「一時的脱落」は一時的なもので生着していれば再び発毛します。

3か月目までには、一時的に移植毛がほぼ抜け落ちます。

この頃までには、生着した移植毛の約90%が自然に抜け落ち、見た目としては手術前の薄毛の状態に戻ってしまいます。
しかし、安心して下さい、移植部では新しい髪の毛が毛母細胞によって生成されていて、細い産毛のような毛髪が徐々に生え始めます。

4ヶ月目ごろから徐々に移植毛が発毛し、成長し始めます。

術後半年も経つと、生着したほぼ全ての移植毛が発毛し、移植部全体が約2~3cmの長さの毛髪に覆われます。
この段階では、多くの患者さんが自分自身の髪の毛が生えてきているという実感を強く感じていただけます。

12か月が経過すると、髪の毛が生え揃い完成形といえるようになります。

早い方は半年から8ヶ月で毛髪が生え揃います、さらに9ヶ月ぐらいで移植毛は太く長く成長します。
そして殆どの方は12ヶ月を過ぎると発毛した全ての毛髪が生えそろい、完成形といえる時期になります。

アフターケアや生活習慣などに気をつけることが、自毛植毛した髪の寿命をのばすことにつながります。

自毛植毛は、生着率や成功率の高い施術ですが、アフターケアや生活習慣などの見直しなどで髪の寿命を伸ばすことができます。

信頼できるクリニックで、生着率の高い自毛植毛を行いましょう。

自毛植毛は自身の髪を移植するので、拒絶反応などを起こすことなく生着します。(傷跡への移植の成績は、環境により変化します。)
しかし熟練の医師がドナーを薄毛部分に植え込む施術を行っても、ほんの少しでもドナーにダメージがあれば、生着できません。
全てのドナーが移植部分に定着し、毛母細胞が正常に分裂を繰り返して全部の毛穴から髪の毛が生えてくるのは不可能に近いことです。
それなのに、ホームページやパンフレットで「生着率ほぼ100%」などと謳っているクリニックは疑わしいと思った方が良いでしょう。
信頼できるクリニックの見つけ方は、ご自身でカウンセリングを受けてみて、植毛の手法や費用、医師の説明などに納得できるかどうかで判断するのがベストです。

かさぶたが取れるまでは普通に過ごしましょう。

自毛植毛では、施術部分は血が滲む程度で手術翌日から洗髪することも可能です。
しかし、毛包組織が皮膚にしっかりと生着するのには、おおよそ48〜96時間の時間を必要とするので、頭をぶつけたり移植部分を擦ったり圧迫したりしないよう気をつけましょう。
洗髪はソフトに行うなら大丈夫ですが、長時間の入浴や熱いお湯に入ったり、アルコールを摂取したり、激しい運動などは傷の治りを遅らせる可能性があるので控えて下さい。
かさぶたが取れるまでは約1週間です、ここで移植部にダメージを与えないことがその後の髪の毛の寿命に大きく関わってくるので、髪の毛のことを一番に思って、我慢して下さい。

規則正しい生活習慣を心掛け、ヘアサイクルを正常にしましょう。

薄毛の原因のいくつかには「栄養バランスが偏る不規則な食生活」「睡眠の質が低い」「ストレスを感じやすい環境」などの乱れた生活習慣との関連性があげられます。
せっかく自毛植毛をしても、薄毛になりやすい生活を続ければ、やがて再び脱毛が目立つようになるでしょう。
髪を正常に育つためには、ビタミンやミネラルなどをしっかり摂取して、栄養バランスの良い食事を心がけます。
また、髪の成長に欠かせない成長ホルモンの分泌を得るため、質の高い睡眠を取りましょう。
ほかにも、自律神経を正常にするためにストレスを溜めないようにすることも重要です。
生活習慣を規則正しくすることで、「成長期」「退行期」「休止期」からなるヘアサイクルを正常に保つことができ、自毛植毛後の髪寿命を伸ばすことができます。

親和クリニックは、術後・術前の生活習慣やストレスケアのアドバイスなど、薄毛治療のトータルケアを提供いたします。

自毛植毛した髪の寿命は健康な髪と同じで、半永久的に生えて抜けてを繰り返します。
そのヘアサイクルを保つためには、術後の経過において正しいアフターケアを行い、毛髪にとって良い生活習慣を送ることが求められます。

親和クリニックでは、専任スタッフによる洗髪サービスや術後のアドバイスなどアフターサポートも充実

親和クリニックの自毛植毛では、まず薄毛治療に精通した医師による診察や専門カウンセラーによるカウンセリングが受けられます。
手術後は翌日に看護師による洗髪ケアが受けられます。
また、経過で説明したように髪の毛が生え揃って完成形になるまでは1年を要しますが、その間に一時的脱毛やショックロスが起こったり、日々のヘアケア方法など様々な疑問・不安・相談事が発生するのは当然の事です。
当院は、患者さんがどんな小さな相談事でも、いつでもお気兼ねなく連絡できるように「患者さまサポート相談室」を設置しています。
また、自毛植毛の手術後には定期的な経過観察を行い、移植した毛髪・頭皮の状態に合わせてフォローやアドバイスを行うなど、術前から術後まで、万全のフォロー体制を整えています。